量子生物学

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(1)鳥のコンパス コマドリが何千キロも離れた目的地にぴったり着くのは、驚異的なことだ。そのメカニズムは、クリプトクロムに光が当たると遊離基のペアが発生し、その量子的もつれの状態がつくる振動数が、地磁気の振動数と共鳴することで方向感覚を得るという。 (2)呼吸 呼吸酵素の電子は、相当の長距離を早く移動する。高温であれば分子の振動エネルギーで説明がつきそうだが、低温でも電子移動は素早い。これをうまく説明するのが、酵素は量子コヒーレント状態を維持して、量子トンネル効果を起こしているという考え方である。 (3)光合成 励起したクロロフィル分子から、エネルギーを反応中心まで届けるには結構長い距離がある。でもほぼ100%の効率で届けることができる。これは古典的ランダムウォークでは説明がつかない。クロロフィル分子にレーザーパルスを当てると光信号は発生し、それは二重スリットによる干渉パターンのような量子的うねりを示した、これは最適経路問題を量子コンピュータのように並列で解いていることを立証し、細胞の中で量子コヒーレンスが維持されていることを示している。 (4)嗅覚 匂いの分子の振動と嗅覚受容体の振動と共鳴すると、トンネル効果で電子がアクセプターに飛び移る。だからおなじ分子構造の匂い分子でも、水素原子を重水素に代えると振動数が違ってきて、ハエはこれを避ける行動をとった。 (5)適応的突然変異 遺伝子にエラーがあってラクトースを食べられない大腸菌ラクトースのみのゲルの上に置く。多くは死滅したが、数日後、遺伝子のエラーを訂正した突然変異体がコロニーと次々と形成していった。環境が突然変異を生むという驚くべき実験結果だが、その説明は、トンネル効果の重ね合わせ仮説で与えられている。DNAに含まれる陽子は、ときどき互変異性体の位置にトンネルし、また元の位置にトンネルする。その量子重ね合わせ状態だが、観測、つまりDNAがタンパク質合成のために呼び出されると確率収縮する。ラクトースの環境では、陽子が変異体に位置した大腸菌が生き残って、もう重ね合わせにはならない。そんな説明である。 (6)生命の起源 原始のスープに電気スパークを発生させるとアミノ酸が生成された。でも自己複製するには至らない。もっとも単純な自己複製するRNA分子(リボザイム)でも、140ステップの化学反応が必要である。これが偶然に発生するのは、銀河系全体の質量の1億倍のRNA鎖が必要だという。あり得ない。したがって仮説としては、これは量子コンピュータと同様に、量子重ね合わせ状態で高速の並列演算をしている、と考えられる。  こんな具合である。まだ新しい学問分野だが、いずれもノーベル賞級の大発見である。